言語学が人文科学の中心的学問として発展する20世紀後半の状況の中で、生成文法・言語哲学の2大ドグマを批判しつつ、理論的(思弁的)文法技術の可能性を日本語をもとに論ずる。さらに、「文」概念の根本的批判から、著者の言語観は独自の領域に踏み入る。

3,800円+税 ISBN:978-4-87424-433-3
2008年12月25日発売
A5判,315頁

【目次】
I. 日本語の意味論を求めて
 1. 「が」は「格」助詞か
 2. いくつの「が」があるか
 3. 「が」と認知
 4. 日本語に疑問文はない
 5. 選択・疑問・詠嘆・存在の「か」
 6. 「あっ、そうか」の意味論
 7. 日本語「代名詞」 事情
 8. 「誰」とは誰か
 9. 犬とDOG
 10. 犬を数える
 11. 犬は出来事か?
 12. 束縛と統率からの自由

II. 論理学的意味論とその応用
 13. どうやって意味をとらえるか----論理学からの接近
 14. なぜ意味論はいまおもしろいか
 15. 形式意味論の基礎(was「数理言語学:意味論」)
 16. 指示詞としての固有名詞
 17. 固有名を他の一般名辞から区別するための条件について
 18. 変項と代名詞
 19. 語用論の論理的研究について
 20. 品詞をめぐる言語学と哲学との戦い
 21. 動詞は名詞とどこが違うのか---名前としての動詞
 22. モダリティの議論のために
 23. 語用論と国語学(was 「語用論」)

III. 真の包括的な言語の科学への道
 24. 近代言語学の歴史
 25. 人間に関するチョムスキーの誤解
 26. 言語学は認知革命を生き延びるか
 27. 語用論から認知科学へ?言語学の新しい方向を探る
 28. 言語の開かれた概念を求めて
 29. 文から語へ

IV. 現代日本の言語学
 30. 松村一登氏への質問状(1)
 31. 土屋俊氏の批判に答える(1)
 33. 松村一登氏への質問状(2)
 33. 土屋俊氏への批判に答える(2)
 34. 松村一登氏への質問状(3)
 35. 土屋俊氏の批判に答える(3)