グーグルのブック検索が出版業界、著作関係者に大きな波紋を投げかけています。一方ローカルな話題でも、著名な国文学雑誌の発行元が大手出版社に業務統合されたり、半世紀以上続いた別の国文学雑誌が休刊されるなど、昨日と同じような今日、今日と同じような明日を願う普通のわれわれには受け入れがたい事態が進行しているようにも見えます。

人文知の世界はどうなってしまうのか?なんともタイムリーな特集の冊子/ウェブが発行されています。丸善ライブラリーニュース第6号。

『出版と知のメデイア論』で知られる長谷川一氏は、幾世紀にもわたり、書物
がそれぞれの時代における知の総体性の隠喩であったにもかかわらず、20世紀にはそれが破産したことを指摘し、グーグルのブック検索について「〈書物〉が実質的にも理念的にも完全に解体され、まったく無効となるであろう契機が包蔵されている」と書いています。確かに「それは、これまで人類が手にしたことのない性質のとてつもない利便性を提供するもの」であるのですが・・・。

一方、大学も情報発信に生き残りをかけるかのように大学出版会の創設ラッシュ。リポジトリに続いて、またもや?と言いたくもなりますが、商業出版社でさえ、採算をとりにくい昨今、その航海のかじ取りも簡単ではなさそうです。東京電機大学出版局の植村八潮氏は創設ラッシュの深層をレポートしながら、「著者(研究者)イコール読者という図式を持つ学術出版において、紙の書籍は予想以上にしぶとい」と書いています。

「予想以上にしぶとい」と「無効となるであろう契機」との間で「あと数十年は大丈夫なのではないか」と、わたしは思うのですが、皆さんはどう思われますか?私も記事を載せていただきましたが、出版社を経営している身としては書物が無効となるかも知れない時代を嘆いてもしかたがないので、人文知と言いながら(良くも悪くも)あまりその影響が及んでいないと思われる分野について書きました。

丸善ライブラリーニュース編集室では「Googleを取り巻くBOOKの環境・状況変化が激しくなってきており、公論として皆様に愛読いただくことが使命と考えております。折角の議論に、限られた読者同士の話に終わってしまう危険があり、紙媒体、ネットともにより多くの方に参加していただくことを願っております。」とのことでした。リンクについてやご意見、ご感想など、下記へお寄せいただければ、とのことです。