年が改まって2013年1月中旬には、コンピュータサイエンスの勃興期に今日の先端研究の基礎を築いた科学者の一人、山田尚勇博士が「ヒューマン・インタフェース」の観点から、日本語の表記と入力についてまとめた論考の第一巻が刊行される。
 →『脳と色彩の基礎科学』

なぜ、「表記と入力」に関する考察の第1巻が「脳と色彩の基礎科学」」なのか?この疑問はごく最近のスマホやタブレットの操作方式を見ればたちまちにして理解できるだろう。しかし山田博士は第2巻以降、タイプライターの文字配列や表記システムと社会との問題などに多くのページをさいている。

あくまで時代の先端をいったコンピュータ科学者の、いわば孤軍奮闘の時代を経て、来年は「二文字社会」に関する考察が多数の研究者に呼びかけて進められるだろう。アメリカの言語学者マーシャル・アンガー氏は、文書作成の入力の大半がローマ字によって行われている現状をfunctional digraphiaと見ているとのことだ。土屋氏はコレクションの第1巻 「真の包括的な言語の科学」の論考で言語学者がその自然科学志向によって十分に日本語表記法に関する研究をしてこなかったという不満を述べている。来年はそのような不満が解消の方向に向かい、第6巻「学術コミュニケーション革命」の巻も刊行される年になるだろう。